店主の雑文
「あるいは電子書籍でいっぱいの海」
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  「あるいは電子書籍でいっぱいの海」は、『漫画の手帖』のお知らせ用チラシ『B録』に2014年11月から掲載しているコラムです。Web上の電子書籍(コミック)を紹介するという趣旨の文章です。なにせWeb上のものですし、比較的タイムリーなものを紹介しているので、リンク先が無くなっているものがあったりしますが、その点はご容赦を。相変わらず雑文ですが、暇つぶしに是非どうぞ。

 
     第23回  掲載:漫画の手帖 B録37号

 

       あるいは電子書籍でいっぱいの海 休載のお知らせ

 2014年のB録14号から連載を開始した「あるいは電子書籍でいっぱいの海」ですが、このたび無事ネタ切れを迎えました(笑)

 5年の歳月が経過して、もはや電子書籍が当たり前となったこの世界で、ことさら電子書籍をテーマで漫画を取り上げる意味がもはやどこにもないような気がするし、取り上げるマンガのネタだって、編集Fさんが取り上げるネタほうがよっぽど面白い(汗)。

 前回編集Fさんが取り上げた杉浦次郎「僕の妻には表情がない」に対抗して、てぃーろんたろん「顔のない女の子」を取り上げようかと思ったが、もう12月には紙の書籍が出るそうだ(泣)。変化早すぎてもはや紙で文章書いてる場合じゃないぞ。


 そんなわけでなにか格別面白そうなネタが出てくるまで本コラムはお休みいたします。すみません。

 最後にこれはちょっと書籍化はないだろうなというマンガを紹介します。この連載の9回目で「悟りパパ」を19回目で「ハダカヨメ」を紹介した澤江ポンプさん、トーチwebで「パンダ探偵社」を連載しておりましたが、本年1月には単行本1巻が発売され、さあ連載もこれから佳境だという矢先にガンが発見され療養のため現在休載しております。
 本業はお休み中ですが、自身のツイッター(@gimuchi32)で治療について色々マンガ形式で語っています。病気を治して連載再開してほしいとは思うのですが、手術と放射線治療と抗癌剤治療の繰り返しで、手術をしなければ死ぬし手術をしても5年生存率2割以下だそうです。メンタル弱っているときに読むとちょっとつらいマンガです。

 ではまたそのうちどこかで(ぺこり)。

  

 

 
     第22回  掲載:漫画の手帖 B録36号

 

   あるいは電子書籍でいっぱいの海 第22回

 

 先日ドクター・マシリトの講演があったので平日にもかかわらず店の営業をサボって行ってきました。

 ドクター・マシリトは白泉社の会長になって、ほとんど実務を離れているからなのか、やたらとマンガの出版には未来はないと身内や他社に喧嘩売りまくりの発言で会場大受けでした。せっかくなので質問タイムの際に「現在の紙のマンガ雑誌っていつまで残りますか」と聞いてみた。「団塊の世代がくたばる迄はなんとか残るはず」とのお答えでした(注:思いっきり意訳しております)。つーことはあと十年は紙マンガ雑誌も安泰かな(笑)

 先日仕入れた付録マンガを整理していたら竹原セツ子「チビッコ校長」が混じっていた。『なかよし』1962年1月号〜63年12月号の2年間かけて連載された作品である。わりかし絵も話も面白い「チビッコ校長」なんですが、気になることが一つ。作者の竹原セツ子って細かい読み切りを除くとほぼこの「チビッコ校長」しか作品がないのです。どうみても別なキャリアがありそうなんですが、実は全くの謎。周りに聞こうにもこんな古くてマイナーな少女マンガに興味がありそうなのは、編集Fさんかまつざきあけみ先生くらいなものだしなぁ。

 「チビッコ校長」という作品は、小学生の女の子が服飾学園の校長やりながらアイドル歌手(当時はない用語)もこなすというハイパー小学生(これも当時はない用語)。なんでそんな状況にあるのかという詳細は4話分しか読んだことがないのでよくわからない(笑)


 これ読んでて思い出したのが、前前前回紹介しそこねた藤井おでこ「幼女社長」とか小学生が飲み屋に板前やってる大井昌和「ちいちゃんのおしながき」とか映画になった「若おかみは小学生」とか松下幸市朗「ひとり暮らしの小学生」とか最近話題の金山カメ「介護小学生」とかとか。小学生の女の子が大人顔負けの活躍をするというマンガは脈々と受け継がれているんだなぁと。でも最後に思い出したのがこれ。

サイト名:WEBコミックぜにょん
作者名:原作・構成:まつだこうた/作画:もりちか
作品名:あゝ我らがミャオ将軍

 国交を断絶して強硬な社会主義独裁体制を貫くコルドナ社会主義共和国。その世襲制のコルドナで3代目の指導者となったのが若干9歳の少女、ミャオ・チョビロフ将軍であった!!。

 どこかの隣国の指導者に似て趣味は粛清である。ただし粛清内容は1トイレ掃除1週間だったり、黒板に爪を立てた音を聞かせるだったり、携帯の着信音をカエルの鳴き声に変更させるだのとなんだか可愛いレベル。

 でも結構あからさまにどこかの隣国の将軍様をパロっています。かつて「悪魔の詩事件」なんて不幸な事件もあったのでちょっと心配なんですが、ミャオ将軍は可愛いからどこかの隣国の将軍様もきっとトイレ掃除1週間位の粛清で許してくれるかもしれない。 

 

 
     第21回  掲載:漫画の手帖 B録35号

     あるいは電子書籍でいっぱいの海 第21回

 さて前回の続きである(いきなりなんなんだ)。「WAVE」幻の第1話のことである。

 なぜ第1話が単行本未収録となったかについて新たな事実が判明した。それは第1話の存在を忘れていたのは監修者だけではなく、作画家も担当編集者すらもその存在をすっかり忘れていたという驚愕の事実である。如何に3人が3人とも作品に愛を注ぐことなく仕事をやっていたということが分かろうというものである(笑)。

 幻となった経緯についてはそんなわけでもはや推測するしかないのだけれど、おそらく第1話での主人公牛嶋繕の母親の弔い合戦が云々という話が、その後の設定と噛み合わなくなったので欠番にしたんじゃないかと思われる。欠番理由も不明とは作品も浮かばれないなぁ(泣)

 まあ、そんな浮かばれない作品を成仏させてやろうと幻の第1話を電子化することを思い立った。「『WAVE』幻の第1話」電子書籍化プロジェクトの始動である。まあそんな御大層な代物ではないが一応夏ころまでにはなんとかしたいと。当然お金を取れるほどの代物ではないので基本的には無償配布を考えております。ちなみに紙版は出しません。紙版を出すと傾きかけている古本屋がさらに盛大に傾くので〜(笑)。

 では本題…のその前に、紙版といえば先般行われた忠津陽子原画展に於いて展示された絵物語3話分をまとめた同人誌をコミティア128で発行する予定です。表紙込みでフルカラー20ページ。なぜか遊び紙が3枚も入っていて、一見中綴じのように見えるけどホッチキスは使わないという摩訶不思議な無駄にこだわった造本考えちゃったので、印刷自体は印刷屋まかせだけど製本は家内制手工業しなきゃならないという恐ろしい事態に直面している(自業自得ともいうな)。忠津先生にわざわざ表紙を新規描き下ろしていただいているので、間に合わなかったら切腹ものでございます。どうなることやら(汗)

 では本題…のその前に、コミティアといえば今回のティアズマガジンからコラムを連載させていただく運びとなりました。タイトルは「マンガ同人誌好古学」。古い同人誌を紹介するというロートルが書くには打って付けのコラムです。掲載誌が違うんで文体ハッチャケさせるわけにも行かずで、どうにも肩が凝って店主のストレスは溜まりまくりなんですが、ここはひとつまあよしなに。ちなみにタイトル絵は新進気鋭の【焚き火】さん。素敵な自画像(?)描いていただきました。

 では本題…のその前に、コミティア128終了後の次の土曜日(5月19日)から「三山のぼる一家まるごと原画展」を開催いたします。会期は5月31日(金)まで。場所は神保町@ワンダー2階です。1回のご来場で三山のぼる、雲田月子(妻)、ギュムゲバ(息子)、ヨミコ(嫁)の一家4人+αの作品楽しめるお得な原画展となっておりますので、ひとつよしなに〜(笑)

 さてようやく本題だぞ(汗)
 
サイト名:Webゴラク・comicフレーバーズ
作者名:ひるのつき子
作品名:コワモテくんの乙女同盟
 今年の2月から月イチ連載で始まった作品。4月初旬現在でまだ2話目です。どんなお話かといえば…。
 番長かカラーギャングかと噂されるほどコワモテの男子高校生・厳津蒼太(いかつそうた)と中学時代に校長をボコった女番長と噂されるこれもコワモテの女子高生・姫野。そんな二人には決して人には知られたくないカワイイ物好きという共通の趣味があったのだ。

まだ2話なので明確な方向性は不明だが、察しの良い「漫画の手帖」読者諸兄ならば大まかに予想がつくと思う。今回これを紹介したのには実は深いわけがある。この漫画の主人公の厳津くんのお祖母ちゃんは大の少女マンガ好きであり、その少女マンガに囲まれて育ったゆえに厳津くんがかわいい物好きになったという設定があるのだ。つまりうちの店(くだん書房)には厳津くんのお祖母ちゃんが読んでいた少女マンガが大量にあるのである。

 そんな背景から先日、作者さんと担当編集子さんがマンガの作中にうちの店(くだん書房)だしても良いですかと取材兼ねて来店されました。店主はもちろん快諾した。しかし今までテレビや雑誌の取材は何度も経験があるのですが、マンガの取材って初めて。テレビや雑誌の場合は店主の顔出しはパス(恥ずかしいから)お願いしていたんですが、マンガの場合はどうしようか迷って結局伝えませんでした。

 ネームとかの都合もあるので確実ではないのですが、5月頭アップの第3話にはうちの店が作中に登場する可能性があります。
 普段から穴があっても入らないと公言している厚顔無恥の店主ですが、流石に今回は恥ずかしいかも。どんなふうに登場するのか心臓バクバクものです。やっぱり今のうちから穴掘っておこうかな(汗)。

  

 

 
     第20回  掲載:漫画の手帖 B録34号

 

   あるいは電子書籍でいっぱいの海 第20回

 以前もいろいろ書いたのだけれども、THE SEIJIとの腐れ縁は実に16年の長きに渡る(腐ってはいるけど爛れた関係はないよ〜)。どのように腐っているかを書き連ねると、モー際限なくいくらでも書けるが、なかでも一番腐った縁といえばやはり「WAVE(ウェーブ)」の事となる。

 「WAVE」とは、かつて秋田書店で連載された、青春3バカスチャラカIT物語といった感じの連載漫画であった。



 連載開始はヤングチャンピオン2007年1号(2006年12月発行:月2回刊)で21話からヤングチャンピオン烈(当時隔月刊)に移籍(要は左遷である)。アンケートは低迷を極めながらも、2010年3号まで全35話で第1部完となる。第1部完といえばなんだか聞こえは良いが早い話が打ち切りである(笑)。

 作画:THE SEIJI、原案:藤村ZEN、監修:藤下真潮と表記されたが、実態はちょっと違う。原案者の藤村ZENは、「WAVE」の主人公牛嶋繕のモデルになった男ではあるが、実態としては原案にも原作にも参加はしていない。基本的な原作はSEIJIの仕事で技術的なアイディア出しは監修者の私がやっていた。一部では堀川のモデルが私で、矢部のモデルがSEIJIじゃないかとも噂されたが、そこら辺は監修者もよく分からない謎なのよ(笑)。

 全体の方向性はSEIJIが決めて、その間の細かいネタ出しは私がやって、SEIJIがネームを切る、技術用語の解説や扉のネタ(毎回懐かしのコンピュータを扉に使った)決めは私が行う、そしてたまに原作も書いた。

 まあそんなかんやで連載は続いたが、毎回掲載誌は届かないは、SEIJIは電話に出ないわで(酔っ払って寝てること多し)、結構ストレスは溜まった。でもまあ10年も経てばそれはそれで、みんないい思い出ではある。

 連載は結局約3年35話続いた。単行本は2007年12月20日に第1巻(10話まで収録)が出て2008年7月18日に第2巻(20話まで収録)が刊行されたが、単行本の重版出来はなく、続巻の刊行もう望めなかった。

 少し余談になるが、連載終了に呼応するように「漫画の手帖」から声がかかった。捨てる神あれば拾う神ありだなぁなんてことをチラッと考えた(原稿料はないけどね(笑))。

 2013年頃になると漫画の電子書籍化がブームになる。続巻が出なかかった「WAVE」も電子書籍なら自分で出せるんじゃないかと考えた。SEIJIに相談してみると、事務所引っ越しの際に原稿1話分が不明になっているのと、後半から電子入稿、電子写植が進んでいるため原稿に写植が貼り付けられていないことが判明した。15話分も写植を打ち直すのはかなりの作業だし、ネームもちゃんと残っていないのでセリフも掲載誌を確認しなければならない。てなわけであっさり計画は頓挫。

 2016年ころのことになる。この「WAVE」の電子化をしたいという、世にも稀な奇特な人が現れる(笑)。少々ウダウダしつつ2017年の末頃にさあ具体化しようという話でSEIJIとその奇特な方も含めて話し合いをした。そんじゃ秋田書店に電子化に対して仁義を切りましょうということで話を持ちかけると…、実は秋田書店側にも電子化の予定があるとの返事が帰ってきた(汗)。

 そんじゃまあ本家本元に任せましょうという経緯で、ようやく刊行にこぎつけたのが今回の「WAVE」未刊行3巻4巻含む電子版全4巻である(わー、ようやく本題に入ったよ)。

 2018年の年末ころには出ますよと聞いていたが、結局刊行されたのを知るのは、まったく他人のツイートからという冗談のような話。でまあ、せっかく出たから内容紹介兼ねて宣伝でもしようかと思ったが、よくよく考えると献本がされていない。刊行の知らせどころか本も貰ってないぞ(電子だからね)。

 まあ仕方がないのでアマゾンでキンドル版を購入しました(泣)。しかし3巻、4巻は1巻あたり7話分136ページしか収録されていないぞ。電子版だから気が付かないけど紙の本だったら露骨に薄いぞ(笑)。

 まあ、それでようやくこの文章書いてます。久しぶりに読み返す3巻、4巻分(21話〜34話)。こんな話だったっけ〜てな部分が結構ある。10年も経つとずいぶんと忘れるのはやっぱり歳のせいか(笑)。

 ふと気がつくと最終回が34話だ。1話分がどっかに消えてるぞ。散々悩んでSEIJIに電話して1話足りないけどなんか編集加えたかいと聞いてみたが、そんなことは一切していないとの返事。ウ〜ンと散々悩んでようやく思い出した。第1話が欠番だったのよ。でもなんで第1話が単行本未収録になったのかは全く思い出せない。やっぱ歳だわ(泣)。

 そんなこんなの「WAVE」全4巻です。みなさんが読んでくれると店主にも印税ががっぽり(笑)。と、ここまで書いて気がついた。この電子版の印税っていったい幾らよ。今回出るにあたって全く一切説明聞いていないんですが〜(泣)。まあ、売れない漫画の電子書籍の印税なんてどうせ年間数百円くらいだろうな(笑)。でも、みんなが読んでくれると店主はちょっとうれしいぞ。(今回秋田書店を大分ディスったようなこと書いてますが、別に恨みとかはまったくございません。連載中の監修料は結構頂いて感謝しているくらいですし、非常に貴重な経験させていただいたと思っております。さらに当時の編集長で現在秋田書店の社長も私は人物的に大変好感持っております(笑))

 アマゾンへの「WAVE」販売サイト

 

 
     第19回  掲載:漫画の手帖 B録33号 2018年11月25日発行 

 

  今この原稿書いているのは実は締切の3週間も前です。
 編集Fさんのミサイル攻撃のような催促(嘘)にもめげず、毎回毎回締め切りを破りまくる私めが斯様な行動を取るとは如何なことでしょう。
 実はここだけの話とても忙しいのです。いえ、本業の店の方は閑古鳥が群れなすくらい暇なんですが、お金にならない本業以外がとても忙しくて、年内にイベント2件、同人誌作成2冊、漫画の手帖以外の原稿2本と、どうすりゃいいのさ思案橋〜♪(by青江三奈)状態です。
 忙しいのになんで締め切り前に原稿書いてるかといえば、ここまで状況がやばいと締切の綱渡りで落っこちる可能性が高いのですよ。そんなわけで仕事の合間を縫ってイソイソと執筆している次第なんですよ。

 さて今回は特にテーマなしです。ツイッターで見かけて気になったやつを適当に紹介(手抜きモード全開)。

サイト名:笑うメディア クレイジー
作者名:藤井おでこ
作品名:幼女社長
 とここまで書いていて、編集Fさんからまさかのリテイクが入りました〜!。「幼女社長」は5月5日発行のB録31号で編集Fさんがすでに紹介していた(きゃー!)。完全なネタかぶりです。ホントもうボケ老人まっしぐらです。てなわけでネタの急遽差し替えです。

サイト名:コミックエッセイ劇場
作者名:おぐらなおみ
作品名:わたしの穴がうまらない
 ちょっと前ですが「夫のちんぽがはいらない」という文学フリマ発のエッセイ(実話小説)が話題になりました。とにかくタイトルにインパクトがあるのでやたらニュースになりましたが、実のところ読んでいません(特に他意はなく)。
 これだけ出版状況も混迷を深めるとタイトルのインパクトの強さは正義なんだなと思います。こちらのタイトルの意味は説明しなくても大丈夫かと思うのですが、いちおう念の為老婆心で…。「わたしの穴がうまらない」、わたし=妻、穴=女性器です。
 内容的にはタイトルからど直球でわかるようにセックスレスの夫婦の悲哀(主に妻側)を悲壮感とギャグをもって練り上げた作品です。コミックエッセイ劇場というサイトに載っていますが、実態としてはエッセイではなくフィクションのようです。でもフィクションの分だけ話は赤裸々でエグい気がします。
 同じ境遇にある方が読むのは、結構ツライもんがありそうな気がするんですが、それとも癒やされるものなんでしょうか。店主は独身なんでそういう機微はわからずに単に”あはは”と思考停止して読んでるんです。

サイト名:ピクシブ
作者名:澤江ポンプ
作品名:「ハダカヨメ」
 以前「悟りパパ」という作品で紹介した澤江ポンプです。「悟りパパ」の方は大変残念なことに2巻以降の続巻が出ませんでした。
 「ハダカヨメ」は新作というわけではなく作者談によると、ほぼデビュー作だそうです。ここで紹介する作品としては珍しく短編読切です。こちらもなんとタイトルから内容は想像ついちゃいそうな気もしますが、旦那の留守中に嫁が家の中で裸族するお話です。ホントそれだけの話しなんだけど、なんとなく面白いです(もう少し言い様があるとは我ながら思うけど語彙がね)。読んでいてこういう裸族のお嫁さんて実は2割位は居るんじゃないかな(根拠ないけど)と妄想しちゃったりします。
 同じピクシブに記載の「サイコンクエスト」もなかなか読ませます。個人的意見ですが、この方は短編の名手だと思います。
 ちなみにトーチwebでは、人間が獣へと変異する奇病を主軸とする「パンダ探偵社」を連載中です。

サイト名:コミカワ
作者名:剛呑
作品名:吾杭くん
 コミカワというのは主婦の友社が運営しているマンガ投稿サイトです。作者の「剛呑」の読み方は多分「ごーどん」じゃないかと思うのですが確信がありません。作品名の「吾杭くん」読み方は「あくいくん」で大丈夫かと。
 吾杭くんという名の悪意を持った少年が主人公なんですが、周りに出てくる人間が、それ以上に悪意を持っていたり変態だったりクズだったりするので主人公が逆に可愛く見えます。それはそれで困った気もするんですが、今の世の中では仕方がないような気もします(世の中のせい?)。
 同じ作者の「戦争少女」も少女版アシュラみたいでちょっと期待しております。始まったばかりなのでまだ方向性が不明ですが…。

 さて冒頭にも書いたように店主は無駄に忙しいのであります。その原因のひとつに、まつざきあけみ原画展(11月17日〜12月2日開催)の企画運営があります。さらにその原画展に併せてよせばいいのに「ぼくらは青年探偵団」単行本未収録バージョンの薄い本を作ろうと目論んでおります。もう完全に自分で自分の首を締めてますね(泣)。
 ちなみにこの「ぼくらは青年探偵団」単行本未収録バージョンですが、本来のアラン版「ぼくらは青年探偵団」ではなくて10年後の1995年頃の「月光」に掲載されたバージョンです。これがもう今となっては商業では絶対復刻できないくらい内容的にヤバイのですよ(泣)。
 貧乏な足立区民をディスるのはまだよいが(よくないか)、岡本太郎画伯デザインのパイラ星人や某きいちのぬりえ似の小鳩狂美という名の少女、不●家のペコちゃん、●福の科学、ポパイ、麻●彰晃、ハイジ、サザエさんとかヤバイ用語やキャラクターが満載というかオンパレード。こんなもんまともに出したら命がいくつあっても…(汗)。
 てなわけで、どうすりゃいいのさ思案橋〜っ♪



 

 
     第18回  掲載:漫画の手帖 B録32号 2018年8月12日発行 

 

 ちょっとだけLINE始めたんで西秋グリンさんのスタンプ買っちゃいました。相変わらず悶え死にそうに可愛いいんです。みんなでスタンプ買ったら漫画の方も復活しないかなぁなんてのは、妄想レベルかなぁ。


 今週は海外マンガをちょっと紹介します。海外つーてもいろいろあります。アメコミやらバンド・デシネなんて高尚なものもありますが、個人的趣味としては日本の漫画のテイストに近いアジア漫画が好きなんです。
 昔々といっても90年台ですが、晶文社から李賢世「弓」(朝鮮の日帝時代を題材にした漫画)とか、三修社いう教科書なんか出してるようなお固い出版社からは同じ李賢世の「純姫(スニ)」という漫画が出ていて、そこら辺がアジア漫画の初読だったような気がします。それからしばらくすると講談社のモーニング誌とかアフタヌーン誌で、台湾や韓国の漫画を日本向けに翻訳した作品が矢継ぎ早に掲載されるようになります。台湾の鄭問(「東州英雄伝」「美しき深きアジア」等)や韓国の黄美那(「李さんちの物語」「ユニ」)、呉世浩(「水の国のアリラン」「ナクシチル」)が印象に残っています。
 鄭問の迫力のある絵も好きでしたが、韓国の一般家庭の雰囲気がわかる黄美那「李さんちの物語」や朝鮮人参にまつわる風俗が描かれた呉世浩「水の国のアリラン」が結構好きでした。
 90年代後半になると海外漫画紹介もちょっと下火になって寂しかったんですが、最近の電子書籍のおかげでまた海外マンガが読みやすくなったんでちと嬉しいです。
 そんなわけで今回は中国の漫画と韓国のマンガを紹介します。こーゆーモノを紹介すると右だ左だ差別だ日和見だとゴチャゴチャいう輩がいるんだけど、そーゆー意見は一切無視なんでよろしく。

サイト名:MangaX
作者名:神北克
作品名:国魂
MangaXというサイトは、マンガの多言語翻訳などをビジネスにしているMAGIAという会社が運営しているサイトです。神北克という方は上海でプロダクション方式でマンガ描いている方のようです。詳細はあんまり知りませんが。
 この「国魂」という作品は日清戦争が題材です。日露戦争ネタは多いけれど日清戦争ネタは珍しいですね。歴史上の事件を題材にしていますが、現在17話までしか読めないのでどこまで史実に忠実かはちょっと不明です。歴史的に有名な人物以外の主要人物、鍾連招、大島長次、東條少尉などは架空の人物設定のようです。いちおう中国では「国魂 甲午浴血」というタイトルで全3巻の単行本も出てるようです。ちなみに「甲午(明治27年)」というのは中国では日清戦争を指すようで、「甲午浴血」というのは「血まみれ日清戦争」的な意味のようです。
 本国サイトを調べてみたらすでに140話を超え未だ連載が続いているようです。どうやら話は日清戦争にとどまらず、義和団の乱を経て日露戦争あたりまで行くようです(中国語なんではっきり分かりませんが)。さらに検索するとアニメも出てくるのですが、どう探しても1話分しか出てきません。ちと残念なり〜。
 日本語版の方ですが、2017年末に17話が掲載されて以降更新がありません。やっぱりなんだかいろいろあるんでしょうかねぇ、きっと(笑)

サイト名:XOY → LINE漫画
作者名:ドルベ
作品名:鶏龍仙女物語
 XOYというサイトは韓国のネイバーが運営しているサイトなので、掲載マンガも韓国の漫画家によるものが多いようです(付記:当初XOYで掲載されていたが現在はLINE漫画へ移行した)。作者のドルベに関しては調査不足でよく分かりません(汗)。
 タイトルからもわかるように仙女のお話です。かいつまんで筋をお話すると、こんな感じ。天の羽衣をなくした仙女が下界の男と結婚して、子供も生まれて幸せに暮らしていたんだけど、旦那はあっけなく早死にしちゃう。でも羽衣が行方不明なんで天上には帰れない。仕方がないのでコーヒーのバリスタやりながら旦那の転生を待ってうん百年が経過しました。ある日天女がやってる村の茶店(コーヒーショップ?)に二人の男がやってきました。どうやらそのうちの一人が転生した旦那のようです。でも天女に関する記憶は失っているようです。仙女は二人の男についていき都会で暮らすことにしました。
 こうやってあらすじ書くと話は地味だし、絵も実際地味めなんですが、細かい設定がいちいち面白い(そもそも天女がバリスタやってるし、コーヒーの名称が変だし、転生した娘は虎でBL小説書いてるし、男の方は大学で生物学を教えている寄生虫オタク)ので、読んでるとじわじわとハマるし、読み続けていると地味に感じた絵もなんだかとても素敵に見えるから不思議(汗)
 この作品の日本語版は当初舞台を日本に設定していました。だから主人公の勤務先の大学も東京にあることになっていました。でも来ている服はチョゴリだし、鶏龍って韓国の地名だし、そりゃ無理でしょう。10話くらいやったところで、無事東京はソウルに書き換えられました(笑)
 一般にも受けが良いようで、実写で韓流ドラマになるそうです(ドラマは興味ないけど)。
 ああ、仙女さんの淹れた「ダメです姫君様」を飲みながら、虎のさっちゃんの書いたBL小説「坊ちゃんの秘密の障子紙」を読みて〜。

サイト名:XOY → LINE漫画
作者名:theterm
作品名:Teen Mom
 こちらも作者の詳細は不明。あらすじはこんな感じ。主人公のパヤは高校卒業直前に自身の妊娠に気がつく。悩みに悩んだ彼女が出した結論は…。両親にも彼氏にも友人にも誰にも告げずに出産してしまおうということだった。地方の大学に行くという口実で親元から離れ一人暮らしを始めるが…。というのが基本路線。はっきり言って設定はこれだけで、要は如何に親バレせずに出産までこぎつけることができるかというそれだけがポイント。面白いのか?と聞かれても、絵はまあまあイケてるんですが、設定がこれだけなんで本当に微妙。じゃあなんで紹介するのかと言うと、この作品に対する読者の反応が面白いんですよ。
 掲載サイトには各話ごとに、読者の感想を書く掲示板機能が備わっております。ここで作品の主人公がディスられまくっているんですね。面白いのは作品をディスってるんじゃなくて、主人公をディスっているとこなんです(笑)。曰く「妊娠出産の大変さをなめている」、「早く親に白状しろ」(でもそれじゃあ連載終わっちゃうぞ)とかの親目線の書き込みが満載で、主人公が「健気で可愛い」とか「頑張って」なんて意見は皆無なんですよ(笑)。
 一種の炎上商法みたいな漫画だなぁ(んなバカな)。あ、ちなみ舞台は国籍不明ということのようです。

 こちらも現在はLINE漫画に移行。炎上掲示板が見れなくなってとても残念(笑)。

 



 
     第17回  掲載:漫画の手帖 B録31号 2018年5月5日発行 

 

 ところで最近話題の西秋ぐりんさん(前回B録30参照)が、いまどうしているかという話ですが、西秋グリンと名を変えて(たいして変わってない)いちおうイラストレータやっているようです。グーグルで画像検索するとLINEスタンプの画像が出てきます。あんまりにも可愛いスタンプなんで購入したいとこなんですが、わたしラインって使ってないのです。残念。
 閑話休題(閑つぶしはこれくらいにして)、初っ端は前回紹介のジジババネタを懲りずにもういっちょ。

サイト名:まんがライフWIN
作者名:サメマチオ
作品名:魔法少女サン&ムーン 〜推定年齢62歳
 主人公は晴川かず子(実年齢76歳)と皆月芳江(実年齢76歳)の二人。実年齢は76歳だけど見た目は62歳(たいして見た目は変わらんなw)という14歳差がこの作品のポイント。
 物語はかず子が癌で余命3ヶ月になったことを芳江に相談するところから始まる。かず子は半年後に初孫が産まれるので、もう一度魔法少女になりたいというのだ。
 二人が65年前のまだ11歳だった頃に河原で拾ったコンパクトは、魔法少女サン&ムーンに変身できる魔法のコンパクトでした。しかし魔法少女に変身すると自動的に悪の化身ブラックマダー(弱い)が出現し、さらに変身解除すると二人の姿は初回変身前の体にリセットされてしまうという副作用がありました。
 この副作用に気がついたのは二人が高校3年生(17歳)になった頃。二人とも生理は来ないし身長も伸びないし何を食べても太らない。ようやくなにか変だと気がついた。実は魔法少女から変身解除するたびに初回の体型(11歳時)にリセットされていたのだ。
 流石に11歳の体型では困るということで魔法のコンパクトを一旦封印するが、8年後の25歳になって究極のアンチエイジング法としてふたたび変身を繰り返すようになる。
 このあたりの設定はちょっと厄介なんで実際読んでもらったほうが良いと思いますが、要するに変身することによって肉体の老化がある程度初期化されるのです。
 見た目はコミカルな魔法少女モノパロディを装っていますが、内容としては二人の女性の友情と人生を描いたちょっとしっとり目テーマの作品です。サイトでもちょっと読めますが、4月7日に単行本は全1巻で発売されたんで、そちらを絶賛オススメ(本コラムの趣旨に反してないか?)、

サイト名:ツイッター
作者名:ヒョーゴノスケ(@hyogonosuke)
作品名:「今日も娘と。」
 ヒョーゴノスケは、マンガ家さんというよりもイラストレイターさんです。娘との日常のやり取りをマンガにしてツイッターにあげていたらちょっと話題になっちゃったって感じです。作品自体はよくあるエッセイコミックでネタもホントに日常からなので、すごくありふれていると言えばありふれていますし、趣味的に描いているので絵も雑なんです。でもすごく魅力的に感じるのはヒトエに娘ちゃんのキャラクターのタマモノなんだと思います。
 3月に単行本が角川から発売されました。巻数表記はないのですがツイッター上の掲載はまだ続いているので、評判良ければ続刊も出ると思います。

サイト名:ツイッター(ピクシブにも掲載)
作者名:サマルカンド(@samar_kand)
作品名:ふたりは寄り道
 この方は、自分で見つけてきたのではなくて、以前知り合いのマンガ家さん(女性)に存在を教えてもらって知りました。その知り合いはこの作者の絵を一周回って新しいと評しておりました。私は80年代に絶対どこかで同人誌をやっていたに違いないと思いました。でもそれ以上のことは全くわからない(汗)。
 「ふたりは寄り道」の舞台はいちおう現代なんですが、濃厚に昭和テイスト香る作品です。最初はのんきな男女のやり取りから始まったのですが、回を追うごとになんだかワケありの話しになってきてます。男の方は会社の上司の娘とかつて恋仲だった云々程度ですが、女の方はタイで男とどーたらこ―たらとかひょっとして子供がいたんじゃないかと思わせるような描写がでてきます。
 作画はメモ用紙に鉛筆書きという実になんだかなーという感じですが、それでも絵の巧さを如実に感じさせるタッチです。特にベッドシーンの描写の綺麗さには特筆するものがあります。
 今のところ番外編入れて全9話です。更新頻度はかなり遅いのでツイッターで見るよりはピクシブでまとめて読むことをおすすめします。
 個人的には、きちんと終わってくれるといいな〜とか、どこかの同人誌イベントに出ないかしら〜とか、どこかの出版社が目をつけてくれないかしら〜とか、イロイロ考えてしまいます。とにかくこのまま消え去ってしまうのだけはご勘弁を…。
 ところで再度読み返してみたのですが、どうも思っていたより若い方のような気がしてきた。絵柄も古いタイプを引きずっているのではなく、レトロな感じが好きでこうなっている可能性もある。一周回っているのは作者なのか周囲なのかどっちなんでしょ(笑)



 
     第16回  掲載:漫画の手帖 B録30号 2018年2月11日発行 

 

あるいは電子書籍でいっぱいの海 第16回

 いわゆるひとつの高齢化の荒波は漫画界にも怒涛の如く押し寄せております。それは2017年の夏コミの3日目8ホールの平均年齢(適当推定55歳以上)の異様な高さにも現れております。そんなマンガ界で最近のトレンドが主人公のジジババ化。奥浩哉「いぬやしき」の主人公はまだ58歳なんで初老の口だけど、おざわゆき「傘寿まり子」なんて文字通り主人公は傘寿(80歳)なんで完璧に後期高齢者だよ。
 そんなわけで今回まず初っ端に紹介するのは75歳のおばあちゃんが主人公〜♪。

サイト名:コミックNEWTYPE
作者名:鶴谷香央理
作品名:メタモルフォーゼの縁側
 3年前に旦那を亡くし、自宅で書道教室を営む一人暮らしのおばあちゃんが書店でふと手にしたコミックスはなんとBLマンガでした。75歳にしてBLという新しい世界を知った老婦人とどんなBLマンガを勧めたら良いか思い悩む書店員の女子高生が織りなすお話(今の所は)。
 お気に入りのBLマンガの3巻目の奥付を見て次に4巻が出るのが1年半後と知り、平均的な余命であと6巻分しか読めないと落胆する描写とか変にリアリティあります(笑)。
 作者の鶴谷香央理はまだ新人のようです。コミックスもまだ未刊行なのでシニアの漫画愛好家は是非応援しましょう笑)

サイト名:電脳マヴォ
作者名:匙田洋平
作品名:夜のロボット
 父親にいきなり頭にネジを植え付けられて、何だかワケわかんないロボット押し付けられて、何だかワケわかんない敵と戦わされる不幸な女子高生が主人公のお話(そうなのか?)です。実に荒唐無稽なロボット漫画なんだけど、このマンガに於いては荒唐無稽は正義である(根拠はないけどなんとなくそんな気がする)。
 作者の匙田洋平は新人かと思ったら1998年ころに、モーニングのマグナム増刊あたりでちょっと描いていたようです。ちなみにデビュー作は98年・第34回ちばてつや賞一般部門入賞しています。

サイト名:電脳マヴォ
作者名:真空派
作品名:真空派作品集
 ちばてつや賞つながりでもういっちょ。先程の第34回のひとつ前の第33回には太田基之が受賞しています。太田基之には鳥子悟という別名義がありますが、この真空派というのも太田基之の別名義です。名義の使い分けのルールはよくわかりません。この作品集には「ぶくぶく」とか「ふわふわ」とか2文字繰り返しのタイトルの短編ばかりが載っています。作風に関しては太田基之らしいというしかありません(手抜き)。
 ちょっと脱線しますが、太田基之の傑作に「高梨さん」という作品があります。これは池谷のぶえ主演でNHKのドラマにもなった作品です(わずか5分のドラマです)。このドラマの第15話の作中に『愛のサムギョプサル』という架空の韓流ドラマが出てきます。どういうドラマかというと、いかにも韓流という感じの男女が河原でテーブルに差し向かいでサムギョプサルを焼きながら愛のドラマを繰り広げるという実にワケのわかんない展開のドラマです(注:漫画版にはこのシーンはありません)。わたしこの韓流ドラマが大好きなんです(脱線にも程があるぞ)。

 ところで別名義で思い出しました。Tokumaru17号の「ヨイコノウワサ」で編集Fさんが書いていた桐村海丸「とんがらし」から「のら赤」への変遷の件です。この方も実はちばてつや賞受賞してますね(まあ、余計な話ですね)。実は桐村海丸には”さらみ”という別名義があります。さらみの名義ではどんな作品描いてるかと言えば…

サイト名:ベビモフ
作者名:さらみ
作品名:ピカエル
 内容は、山の神様(和風)のところに羽を怪我した小さな天使(洋風)が現れて、可愛い天使の傍若無人さに山の神様が振り回されるというお話です。ちなみにベビモフというのは以前紹介した子育てママ向けサイトです。単行本の1巻もつい最近刊行されました。
 どちらかというと「ピカエル」は「のら赤」よりは「とんがらし」に近いような気がするのですが、どうなんでしょう。どうもわたしなんかより編集Fさんの方がこの作品にかんしては適任のような気がするので、続きは編集Fさんにお任せします〜(ここまで編集にぶん投げてしまう傍若無人なライターがかつて居ただろうかww)

 と。無茶振りした結果が以下のようなものです(笑)

 漫画の手帖F氏: え〜と… 漫画の手帖やって今年で37年になります。執筆者の方に「創刊の時、私生まれてないです」ってよく言われます。そんな私ですが、これまでこっから先、続きを書けといわれたのは初めてです。まったくもって長生きはするものですね(後略)。

 とお褒めの言葉(絶対違うぞ)をいただきました〜(^_^)/

 


 

     第15回  掲載:漫画の手帖 B録29号 2018年1月15日発行 

 

 最近の漫画の手帖ではエロネタが流行りのようです。私も負けじとエロネタ言ってみようかと思います。
でもねえ寄る年波の都合もいろいろあって最近はもう役立たず(何が?)なんで、どうもガチエロに触手(ちがう食指だよ)が動かないんですよ。なんで微エロのやつをご紹介。微エロってなんだと思うかもしれませんが、まあ実用性(何の?)がないことと深刻な話にならない(要はコメディ)というライトな特徴があります。

サイト名:やわらかスピリッツ
作品名:「菜々子さん的な日常 REVIVAL」「菜々子さん的な日常 SPIRITS」
作者:瓦敬助
作者の瓦敬助って誰? かというと「僕だけがいない街」で有名な三部けいの別名義です。
 昭和の北海道の高校を舞台に、主人公の瓦くんと、クラスメイトのナイスバディで無防備油断娘の菜々子さんが織りなす日常(?)的なエロ風景と主人公のラッキースケベに下される天罰覿面とか因果応報のシーンが楽しめます。
 サイトの更新が終了しちゃった作品なので残念なことに第1話と最終回しか読めません。
 しかし20年以上掲載誌を代えて続いている作者のライフワーク的な作品なので単行本も各種出ています。
・菜々子さん的な日常 全2巻
・菜々子さん的な日常RE 全1巻
・菜々子さん的な日常DASH!! 全3巻
・菜々子さん的な日常REVIVAL 全4巻
 試し読みして気に入ったなら、単行本で追っかけるのもよいかと。

サイト名:Webコミックぜにょん :ピクシブコミック
作品名:「江口くんは見逃さない」
作者名:野澤ゆき子
 サイトの作品解説が結構適切なんでサイトから引用します(手抜き(笑))
【江口一、10歳、小学五年生、早生まれ。 寡黙な彼の視線は、どんな時でもちょっとエッチな瞬間「ちょいエロ」を見逃さない! 汗に透けるブラジャーを、前かがみになった時のパンティーを、 ボタンを弾き飛ばしたおっぱいも、全てをその眼に収める江口くんを見逃すな!】
 まあこれもラッキースケベのたぐいですね。コミックぜにょんとピクシブコミックでそれぞれ別なお話が読めます。ちなみに江口くんは紳士なので因果応報はありません(笑)

サイト名:コミックウォーカー
作品名:「姉なるもの」
作者:飯田ぽち。
 両親を亡くし親戚をたらい回しにされていた少年夕くんが旧家の蔵の奥で出会ったものは、【千の仔孕む森の黒山羊】と呼ばれる異形の邪神だった。その邪神に夕くんが願ったのは『僕のお姉ちゃんになって欲しい』でした。店主はショタにあまり耐性がありませんが、微エロなんで大丈夫です(何が大丈夫なんだか)。
 ちなみに【千の仔孕む森の黒山羊】というのはクトゥルフ神話に出てくるシュブ・ニグスという豊穣の女神・母神でヨグ・ソトースの奥さんだそうです。エロくて巨乳で優しくて良い奥さんですね(?)。
 ちょっとネタが古いものが続いたので最後に新しいものもひとつ。

サイト名:サンデーうぇぶり
作品名:「あそこではたらくムスブさん」
作者名:モリタイシ
 主人公は湘南ゴム工業株式会社ではたらく砂上吾郎くん。最近開発部に移動になりました。そこには憧れの君だったムスブさんがおりました。儚げで可憐な理系女子ムスブさんが開発しているものは…。
 作者は相模ゴム工業辺りにちゃんと取材に行っているようです。つまりムスブさんが開発しているものとゆーのはコンド●ムなんですね〜。いわゆるギャップ萌えというやつですか(そうなのか?)。
 ゲッサン’17年12月号より新連載のホヤホヤネタです。ウェブではちょっとだけ遅れて読めます〜。

 ここの所、紙版の宣伝兼ねたような電子書籍ネタが多かったので、次回は原点に戻ってウェブ掲載が中心のやつ紹介します。



 
     第14回  掲載:漫画の手帖 B録28号 2017年11月5日発行 

 

 前回のB録27号ではエロネタ主体で書いてみた。ちょっとエロ度高過ぎて浮いたりしたら嫌だなぁなんて思っていたら、他の執筆者もエロネタばっかり(爆)。しかも私のネタなんかよりみんな濃い濃い(汗)。浮くどころか沈みきってますわ。
 そんなわけで今回は日和ってエロネタではなくて食ネタで行ってみようかと。またかいと言われそうだけど、やっぱり人間の三大欲求のうちの食欲は外せません。性欲ネタは全年齢化が難しいし、睡眠欲ネタはそもそも漫画にするのが難しそう(例外的に「ねるじょし」ってのがあるけど、コレはいずれまた)なんで、食欲ネタは漫画にしやすくてそこそこ受けるジャンルなんでしょう。企画的にお手軽すぎて作品数もウナギ登り。ついこの間「週刊漫画タイムズ」読んだら全14作品中、食マンガが6作品もあったよ。こうなるとホントにネタも細分化します。

サイト名:ゴラクエッグ
作者名: 伊藤静
作品名:「山田飯」
 何かの事情で一人暮らししている女子高生成瀬もえ(旧姓山田)が”やまだ”と屋号の付いているお店を食べ歩くという連載漫画。なぜ一人暮らしなのか、なぜ”やまだ”という屋号にこだわるのかは回を追う毎に明らかになるような仕組みっぽいです。
 いままで食材限定だったり調理法限定だったりとやたらしばりのある漫画を紹介しましたが、店の屋号にしばり設けたマンガは初めてです。ちなみにこの”やまだ”という屋号のお店はすべて実在の店限定です。他人事ながらこのしばりで何回連載続けられるのか心配でなりません。

サイト名:やわらかスピリッツ
原作:野田宏 作画:若松卓宏
作品名:「人魚姫のごめんねごはん」
 深い深い海の底。お魚たちの王国にエラという名の人魚姫が居りました。心優しいエラ姫は、お友達であるお魚たちを深く愛して暮らしておりました。そんなある日、お友達のカツオの鰹男がいなくなってしまいました。野蛮で冷酷な人間に釣られてしまったのです。
 エラ姫は変身して鰹男を弔うために人間界に向かいます。そして居酒屋でカツオのたたきと成り果てた鰹男にそっと手を合わせ立ち去ろうとしたその時、隣の客に「食ってもらえないんじゃぁ、釣られたカツオも成仏できないな」と言われます。
 恐る恐るカツオのたたきを口にするエラ姫。お友達の衝撃の美味しさに打ちのめされるエラ姫。そして鮪、鱈、鱚と友達が釣られてしまうたびに人間界にあしげく通うようになるエラ姫。
 このお話は、お友達を食べる背徳感と美味しさの板挟みになる人魚姫の業のお話です(笑)。

 あんまり趣味に走ったものばっか紹介してると、当コラムの僅かな愛読者(推定8.3人 なぜか端数込み)がもっと減っちゃうかもしれないので、漫画の手帖世代(要はジジババ)にあわせたネタもご紹介。

サイト名:ねこねこ横丁
作者名:清原なつの
作品名:「じゃあまたね」
 70年代後半あたりでマンガに狂った人なら必ず読んでる清原なつのです。ネコ情報サイトに掲載されているマンガなので、内容もネコ絡みなのですが、自身の飼っていたネコと漫画家を目指す話が絡んでいるので、実質は清原なつの版「まんが道」といった内容です。
 1967年(清原なつのは小学5年生)から話がスタート。「超人ロック」に出会って、作画グループに入会するのが1971年初頭(中学二年生)です。ちなみに「超人ロック」を読んで作画グループに入会すればかっこいいメカが描けるようになると思い込んだそうです(笑)。’17年10月現在の時点で、お話は1973年初頭(高校一年生)の頃が語られています。
 多分大学あたりのデビュー前後の話が面白そうな気がするので今から楽しみです。
 以上、ジジババ向けネタでした〜(笑)


 
 第13回  掲載:漫画の手帖 B録27号 2017年8月13日発行 


 前回B録で「空気人形と妹」を紹介した際に、手塚治虫「やけっぱちのマリア」を引き合いに出さなかったことを編集Fさんに指摘されました。超が付くほどの名作を失念したことに全くもって穴があったら入りたい気分です(あいにく近くに穴が見つからないのではいりませんが)。というわけで今回も微妙に?微エロのネタで進みます。

 まず初っぱなにおむつネタを持ってこようと思ったのですが、「漫画の手帖TOKUMARU16号」表紙マンガの情報によると「漫画の手帖」は宮内庁御用達の品格ある正統派批評誌だそうです。そんな紙面を(付録とはいえ)おむつネタなんかで汚して良いのかとコンマ7秒ほど遅疑逡巡したんですが…編集Fさん好きそうだからなぁ…まぁ良いか〜と結論に達しました(笑)。

サイト名:webコミック ぜにょん
作者名: つっつ
作品名:「おむじょ!
 21世紀も17年ほど経過して、クルマは空を飛び、月には観光ホテルが出来、人々は銀色のスーツを着て闊歩するこの時代に、まさかあの80年台おむつ漫画の巨匠内山亜紀大先生をリスペクトするような非18禁マンガが出現するとは! 長生きはしてみるもんです〜。
 さて本来はここで漫画の内容解説しなきゃいけないんだけど、今回は絵を見りゃ一発で理解できるので文章で説明は致しません(手抜き)。ところでこのコラムに使用する絵は基本的に編集Fさんが選ぶお約束になっております。というわけで編集Fさん、一発で作品内容がわかる絵を選んでください(手抜きにもほどがある(笑))。

サイト名:ニコニコ静画 公式ゴラク魂
作者名:かずみ義幸
作品名:うれしょん!
 おむつに続いてうれしょんです。ひどいね全く(笑)。うれしょん(嬉ション)というのは、子犬などによくみられる嬉しくて興奮してしまうあまりにおしっこをもらしてしまう現象のことです。ただしこの作品には犬も出てきますがおもにうれしょんするのは女子高生です。そーゆーマンガです(笑)。出版社(日本文芸社)の宣伝文句は『「このオシッコマンガがすごい!!」大賞☆最有力候補作品!!』だそーです。何が凄いってこれで18禁じゃないというのが凄いです。

サイト名:サンデーうぇぶり
作者名:犬上すくね
作品名:蛇沢課長のM嬢
 毒にも薬にもならない他愛ないラブコメ(好きなんですけどね)を描き続けていた犬上すくねが、まさかこんな作品を描くようになるとは…。いい時代にうまれたなぁ(感慨)。
 主人公は住宅メーカーの新人OL螻川内美々子(23)。自他共にごく普通の新人OLと思われている。しかし美々子の上司である営業課長蛇沢順(28)は、自他共に認めるドMである。しかも苛められれば苛められるほど営業成績が上がるという困った性癖のエリート課長である。美々子は周囲から蛇沢課長のご主人様役を演ずることを期待されるが…というお話。なのでタイトルの「蛇沢課長のM嬢」というのは間違いです。美々子はM嬢ではなくS嬢なんですよ。しかも未だその自覚のないドSです。
 この作品は美々子のドSっぷりを楽しむマンガです。その筋の人にはたまらないものがあると思います(笑)。ちなみにオマケ漫画の美々子の母親のドSっぷりや飼い犬マックスのドMっぷりも素晴らしく楽しめます。ああ、本当にいい時代にうまれたなぁ(感慨ひとしお)。

 あんまり下品なマンガばっかり紹介していると、宮内庁御用達を取り消されちゃうかもしれないので、最後くらいは上品なやつ紹介します。

サイト名:BABY!
作者名:本間実(ほんままこと)
作品名:元泉の女神のブログ
 「BABY!」は講談社の『モーニング』と女性ファッション誌『FRaU』が共同編集した子育てお母さん向け無料電子書籍雑誌『BABY!』が運営するサイトです。
 本間実は2016年10月期のモーニングゼロ(講談社の新人募集サイト)で本作「元泉の女神のブログ」が佳作受賞した出来たてホヤホヤの新人です。受賞作は『モーニング』2017年2・3合併号にも掲載されました。受賞時は31ページの作品でしたが、web版は全62ページ(前後編掲載)に加筆修正されております。
 主人公の森野いづみ(旧姓)は、200年もの間泉の女神(金の斧・銀の斧ってやつ)をしておりましたが、父親のお礼にと現れた青年にプロポーズされ、あれよあれよという間に結婚して、あれよあれよという間に可愛い子供を授かります。そして2歳の子どもの子育てに追われながらもその子育て話をブログに綴るような平凡で平和な日常を送っておりましたが、旦那の実家に帰省した際に義父に言われた何気ない言葉からふと気持ちが揺らぎ始めるのです。
 泉の女神を引退したことは後悔はしていないはず、でも今の幸せな母であるアイデンティティとかつて泉の女神であったアイデンティティの狭間で気持ちが揺れ動いてしまう…。
 退職して子育てしているお母さんにはもちろん、子育ての経験もない男性にさえ、その揺れ動く気持ちがすんなりと伝わってくる質の良いマンガだと思います。
 2話目はヴァンパイアのお母さんが復職することに思い悩む「吸血母さんの1歳児健診」です。これもナカナカ面白いですよ。
 サイトの作者プロフィール欄の自画像は、2歳になる(掲載当時)娘さんが描いたそうです。この絵を見るとなんだかとってもうらやましい。


東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮 

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