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『THE SORGE CASE(ゾルゲ事件)』

GHQ 民間情報課 作成

1947年8月5日
値段:80,000円 売切


表紙上部に"GENERAL HEADQUARTERS FAR EAST COMMAND","MILITARY INTELLIGENCE SECTION, GENERAL STAFF"、中央上部に"CIVIL INTELLIGENCE SECTION"、中央に"THE SORGE CASE"、下部に"5 AUGUST 1947"と記載されている。

 内容は、
I. DISCOVERY, ARREST AND TRIAL
(1:発見、逮捕そして裁判)
II. RICHARD SORGE
  OFFICIAL RECORD OF THE EXECUTION OF RICHARD SORGE
(2:リヒャルド・ゾルゲ 死刑執行公式記録)
III. BRANKO DE VOUKELITCH
(3:ブランコ・デ・ブーケリッチ)
IV. MIYAGI YOTOKU
(4:宮城与徳)
V. OZAKI HOZUMI AND HIS POLITICAL OPINIONS
OFFICIAL RECORD OF THE EXECUTION OF OZAKI HOZUMI
(5:尾崎秀実と彼の政治的意見 死刑執行公式記録)
VI. MAX AND ANNA KLAUSEN
(6:マックスとアンナ・クラウゼン)
VII. THE LESSER FRY
(7:その他小物)
VIII. SORGE CODE
(8:ゾルゲの暗号)
IX. SORGE'S OBJECTIVES
(9:ゾルゲの目的)
X. LESSONS AND CONCLUSION.
(10:教訓と結論)

の10章からなる。

 

 

 太平洋戦争勃発寸前の昭和16年10月17日の早朝、一人のドイツ人が治安維持法違反により特高警察に逮捕される。

 男の名は、リヒャルド・ゾルゲ。1895年アゼルバイジャン共和国生まれ。父アドルフはドイツ人、母ニーナはロシア人。ナチス党員でドイツ大使館の私設情報担当、ドイツ”フランクフルターツアイトゥング”特派員、そしてスターリンのスパイだった男。

 この資料は戦後GHQにより作成されたもので、おそらくは戦後ゾルゲ事件を広く知らしめることとなったウィロビー報告として使われた資料の一部だと思われる。
  A4を少し縦長にしたサイズの用紙に英文タイプ打ちされ、全93ページ+3葉の写真版から構成されている。作成は1947年8月5日GHQ民間情報課による。

 内容は、ゾルゲおよび尾崎秀実そしてその周辺人物の逮捕から死刑執行までの公式記録、ゾルゲが使用した暗号の分析、ゾルゲが入手した情報のソースと組織の関連図の分析などからなる。

 文中を眺めて興味深いことが2点ある。1点は、後のウィロビー報告により物議をかもすこととなった伊藤律との関連が、この資料においては一切出てこないこと。もう1点は尾崎秀実と妻の往復書簡集『愛情は星のふるごとく』を取り上げ、日本人はセンチメンタリズムに流されこの事件の重要性をまったく認識していないと分析している点である。

 ゾルゲは太平洋戦争末期の昭和19年11月7日ロシア革命記念日にあわせて処刑された。

 巻末資料の死刑執行公式記録の写しによれば、ゾルゲは終始落ち着いた態度で、とくに遺言は述べず、職員に対し「皆様ご親切有難う」を繰り返したとある。

ゾルゲが使用した暗号の解析部分

ゾルゲ死刑執行書類(写し)

尾崎秀実死刑執行書類(写し)

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮