ホラー特集第1弾
三田京子&松下哲也
 
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タイトル:怪談 緑の月に怯える乙女 著者:三田京子
出版社:東京漫画出版 女性怪談シリーズ
出版年:不明 値段: 売切

 

ストーリー:
 勉強尽くめの日常に倦み疲れた香菜子は、ある日公園で星影の美少年を見かける。日常からの脱却を願う香菜子は、すべての願望がかなえられる夢のような世界へといざなわれた。だがそんな夢のような世界にも表と裏があった。豹柄の女によって裏世界へと拉致された香菜子は、そこで人間の恐ろしいまでの欲望を垣間見るのだった。

 『怪談 聖女モナリザ』と双璧をなすとうわさの高かった作品。その名に恥じぬ傑作です。

状態:
 並上から美下


見よ! このカラー見開き3面を駆使した、見事なまでにアバンギャルドなイントロダクション。



右側の蝶のお化けのようなオネーサンには、実はモデルがあります。
文中を良く読むとどうやら1959年にインドネシアのスカルト大統領と結婚したデビ夫人(^^;らしい。
左側の毛皮をまとったおっさんもどこかの汚職代議士らしいのだが、こちらはモデルが不明。





三田京子が描く美少年には、根強いファンが多かった。
”星影の美少年”とあるが、何故”星影”という形容詞がつくかは不明(笑)。

 

タイトル:妖しき夢をあなたに 著者:三田京子
出版社:東京漫画出版 少女スリラー純愛集
出版年:不明 値段:売切

 

ストーリー:
 存在するはずのない東海ビル4号室。そこに迷い込んだ鈴子の見たものは、夢の美少年”夢雄”が住む異世界だった。夢雄との夢のような日々を過ごすうちに鈴子は、やがて恐ろしい事実を知る。夢雄は、人間の醜い欲望を養分として吸い取り生きているミステリーゾーンの生物だったのだ。
 他の女たちが精気を吸い取られ、老婆と化していくなか、醜い欲望など持たぬ美しい心を持った鈴子に夢雄は逆に精気を吸い取られ始める・・・

 醜い欲望は身を破滅させるという教訓に強引にねじ込むあたりが、さすが三田京子である。

状態:
ビニカバ貼付 ヤケ 何箇所かサケ(欠けはなし) 並下


思惑とは逆に精気を吸い取られやつれていくミステリーゾーンの生物”夢雄”

 

タイトル:怪談十六才の昇天

著者:三田京子

出版社:東京漫画出版 怪談女性シリーズ
出版年:昭和40年頃 値段:\18,000 売切

 

ストーリー:
 新聞配達のアルバイト中に雪彦は、香織の母あやを自転車でひき殺してしまう。罪の意識と慰謝料(30万円)の支払いによる生活苦で、やがて雪彦は学校を辞め家を出て働きに行く。つのる思いを振り切れない香織は雪彦を追うが、既に香織の父親の策略で下宿を追い出されていた。雪彦にも会えず、お金を盗まれ一文無しとなった香織は、路で行き倒れる・・・・

 ”怪談女性シリーズ”と銘うたれているが、怪談の要素はほとんどない。基本的には、純愛物なのだが三田京子が書く純愛物はそれはそれで突っ走っている。まるでシェークスピア張りのすれ違いと勘違いと悲劇が展開される。三田京子お得意の教訓的”後記”で、増える交通事故に憂い、主人公のような純粋さ大切さを説いているが、こう簡単に自殺する性格のほうが問題だと思うが・・・

状態:
小口に少ヤケとシミがあるが貸本として未使用で美本。


三田京子の十八番、見詰め合う二人(笑)

 

タイトル:怪談魔性の恋人形

著者:三田京子

出版社:東京漫画出版 怪談女性シリーズ
出版年:不明 値段:\14,000 売切


 

ストーリー:
 沢谷村の人形師の息子で面菊という美少年が、美しい娘たちを連れてきては人形のモデルに使う。ところがモデルになった娘たちは次々と変死してしまう。
  新しいモデルを探す面菊の前に美しい尼僧白蓮尼が現れる。そして二人は恋に落ちるが、所詮尼僧にとってはかなわぬ恋。だが白蓮尼のつのる思いは、生霊となって人形に乗り移り面菊とのかなわぬ逢瀬を繰り返し始める。やがて事態は思わぬ方向に転がり始める。

状態:
 ビニカバ貼付、少背ヤケあるも内部の状態は良い。並上

自分の思いとは裏腹に人形にとらわれ愛しい面菊を絞め殺す白蓮尼。三田京子らしい描写が展開される。

 

タイトル:十五夜の花嫁

著者:三田京子

出版社:東京漫画出版 怪談女性シリーズ
出版年:不明 値段:売切

ストーリー:
 医者を目指して勉強中の秀樹は、街医者の娘晴美と契約結婚中であった。そんな二人の仲にある日、琴音という美少女が舞い込んだ。契約結婚自体を快く思わない秀樹は、やがて心根の美しい琴音に惹かれ、母親の反対を押し切りついに結婚を決意する。やがて男の子が生まれ円満な家庭が気づけるかと思われた矢先。琴音の過去を調べ上げた晴美は、一枚の写真を秀樹へ差し出した・・・

 その写真に何が写っていたかは、差別問題につながるので書けませんが、当時はこのような問題で破談になる結婚もあったようです。

状態:
 中盤のページ1枚が半分ほど欠けています。ビニカバ剥しでカバーも少イタミ。並下から下
 

妊娠した琴音をいじめる母と晴美。

怪談の要素はまったくないのだけれど、嫉妬に狂った女性の怖さは堪能できます(笑)

 

 
タイトル:恐ろしい赤ちゃん

著者:松下哲也

出版社:宏文堂 少女スリラー
出版年:昭和39年6月頃(推定) 値段:\5,000 売切

ストーリー:
 300年の歴史を持つ夕陽家の最後の子孫となる美香。その夕陽家に同居する家族に一人の赤ん坊が生まれたことから悲劇は始まった。それは400年前(数字間違ってません)の祖先が引き起こしたのろいによるものだった。
 松下哲也の宏文堂時代の作品。

状態:
 ビニカバ貼付け ページ少サケ テープ補修 落書き1箇所 並下

老婆を襲う幼児。ホラー物では定番のシチュエーションか。

 

 
タイトル:幽界少女

著者:松下哲也

出版社:宏文堂 少女スリラー特選集
出版年:昭和36年8月 値段:\6,000 売切

ストーリー:
 レプトスピラ症に感染した少女理香は、一枚の皿絵に想いを託し自殺を図った。理香の姿が刻まれた皿絵は、やがて恋人の進の手元へと届き。進は理香の亡霊に悩まされ始める。

 表紙の絵を見て分かるように、番町皿屋敷を下敷きにしている。でもあまり関連はないし、割ろうとしても割れない皿はずるいと思う(笑)

 読んだ人が誤解するといけないので、ちょっと補足しておきます。レプトスピラ症(ワイル病)というのはヒト間感染はしませんし、よほどの劇症でなければ抗生物質で治癒可能です。でもこの漫画が描かれた頃、ある地方(国内)で大流行して数十人の死者が出ています。

 併載に「霧の中の少女」宮本光

状態:
 巻頭カラー部のページ端にイタミがあります。カバー貼付 程度 並から並下
 

順を追って解説するが、この頃の絵柄に三田京子の影響はまったく見られない。

 

タイトル:美しき夜の来訪者

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 少女ロマンスリラー
出版年:昭和38年7月 値段売切

ストーリー:
 白鳥を愛する美雪、その白鳥に憎しみを抱く父親。なぜ父親はそこまで白鳥を憎むのか? 美雪の本当の母親とは・・・

 内容には関係ない話だが、本書の見返し部に1964年度の”貸本マンガ人気投票120人”のひばり書房関係者の分が掲載されている。現在の人気度と比較してみるのも興味深い。

状態:
 少サケとページ端に欠けがありテープ補修がある。 ビニカバ貼付 並

ひばり書房でのまだ初期(定価200円時代)の作品。絵柄は松下のオリジナル。

 

 
タイトル:怪談まわり灯篭

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 少女ロマンスリラー
出版年:不明 値段:売切

ストーリー:
 天涯孤独の小夜里は関が原でたった一度出会った、修一のことが忘れられずにいた。もういちど会いたいとお百度踏む小夜里に遺産を狙う叔父夫婦の姦計の手が延びる。唯一の味方の婆やを殺された小夜里は、怨霊になって婆やの復讐を果たそうとする。

 この頃(ひばり書房220円台)から、三田京子の絵柄が混じりだす。この時点で三田が単なるアシスタントか、結婚までしているかは不明。

状態:
 ビニカバ貼付 表紙下部に3ミリほど切り取りがある。 他問題は少なく並程度。  

上のコマは松下の絵柄ベースに三田のペンが。下は三田の作画と思われる。

 

タイトル:怪談赤い湯の花

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 少女ロマンスリラー
出版年:不明 値段:\6,000 売切

ストーリー:
 人目を避け偽名を使い湯の町に滞在する幸弘。彼は決して足を踏み入れてはいけないと言われた山に入り込み、そこで一人の少女と出会う。だがその少女と出会った男たちは、次々と行方不明になるのだった。

 元来、松下哲也の描く怪奇物は、余りどろどろとした要素を含まずさらっとした雰囲気のものが主体だった。設定や舞台、小道具などもたとえ日本が舞台であっても、洋館、洋服、極めて現代的で洋装のものを好んでいた。この少し前あたりから急激にこの要素が変化し始め、極めて日本的な小道具(日本家屋、和服)や女の情念、嫉妬など要素が入り始める。

状態:
ビニカバ貼付 緑小口 後半少サケ(欠けなし) 並

 
タイトル:乙女の殺した十三人

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 少女ロマンスリラー
出版年:不明 値段:売切

ストーリー:
 南部八戸藩名久井村の庄屋の娘美都は、心優しい娘だった。飢饉のなか食べ物を求める者が来れば、貧しいなか粥を分け与えた。その善行に心打たれた長四郎は倉米を盗みだしては、庄屋へと運んだ。やがてそのことが露見し長四郎は牢へとつながれる。その牢の中で長四郎は美都の恐ろしい噂を耳にする。美都が野山に潜み小さい子供を襲い人肉を喰らっているというのだ・・・

 だんだんと教訓めいたテーマ設定が多くなる。残念ながら設定したテーマに対しては未消化な部分が見られる。

 ちなみにタイトルも内容とは直接無関係。次号予告時点でタイトルだけは決めてしまうから、実際の内容とタイトルがずれることは珍しいことではない。

 絵柄はもうすっかり三田京子と化している。

状態:
 ビニカバ貼付 ページ端に少欠けあるもおおむね美本

 
タイトル:怪談花馬車の乙女

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 怪談ロマンシリーズ
出版年:昭和41年12月頃(推定) 値段:売切

ストーリー:
 秋深い北海道のあるお屋敷に不思議な花馬車に乗った乙女がやってくる。路に迷い自分の名すら思い出せない乙女は、やがて喬の家で生活するようになる。家族に慕われ、のげし名づけられた乙女。だがそこに忍び寄るように乙女の過去を知る男が現れる。

 もうどこを見ても松下哲也の絵の面影は残っていない。北海道という舞台を取りながら、出てくる家屋は日本家屋、ヒロインも和服。

状態:
 ビニカバ貼付 内部わずかにシミあるが状態良好 並上

すごく妖しげな月からの使者(笑)

 

 
タイトル:怪談夜叉乙女(前後)

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 怪談ロマンシリーズ
出版年:不明 値段:\18,000(2冊) 売切

ストーリー:
 安土桃山の頃、美濃国安八に日照りが続いた。雨乞いをしようと集まる村人の前にお小姓姿の美少年夜叉丸が現れた。 雨を降らす代わりに村一番の美しい娘紗織を差し出せと。愛しい恋人六郎と別れ、白装束に身を包み夜叉丸のもとへ向かう紗織。紗織を追って夜叉ヶ池に向かった六郎は、そこで異形の物を見る。

 絵柄はおろかストーリーや構成、そして自然をおろそかにする人間に対する警告?という壮大なテーマ設定にいたるまで三田京子の類似性が強く出ている。正直言って読んでいて混乱するくらいだ。作者名を三田京子に書き換えてもきっと誰も気が着かないだろう。

 
状態:
 前後ともにビニカバ貼付あるがおおむね状態良く、並上

あまりの暑さに太陽がとろけて山火事が発生(笑)

巨大ヒルに巨大蟻


巨大草舟(人間が小さいんじゃないのよ)


そして巨大夜叉丸(^^;

 

 
タイトル:修羅の城

著者:松下哲也

出版社:ひばり書房 怪談ロマンシリーズ
出版年:不明 値段:\5,000 売切

ストーリー:
 伊達政宗の奸計にはまり最後を遂げた父親の無念を晴らすため、雪山にこもり修行を続ける梅王丸。修行を続ける梅王丸の周りで次々と叛臣が殺されていく。書き残された白い女とは何者か。梅王丸に白い影のように付きまとう女が現われる。

 ひばり書房のB6版230円時代の作品。絵もストーリーもある程度の安定を見る頃である。

状態:
 ビニカバ貼付あるが状態良い。並上

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮